MRI装置

MRI装置の構造

MRI装置のガントリーの中には被検者から見て、RFコイル→傾斜磁場コイル→シムコイル→静磁場コイル(クライオスタット)の順に重要な部品たちが入っています。

 

また、MRI装置がある検査室は外から電磁波が入ってこないように特殊な電磁波の遮蔽(電波シールド)が施されておりシールドルームともいいます。

 

静磁場磁石

臨床では超伝導磁石と永久磁石の2種類が使われており、それぞれメリットとデメリットを持っています。

超電導磁石と永久磁石

超電導磁石のメリットは「高磁場であるためSNが高い」「電流を安定して供給することで高い磁場均一性が得られる」。デメリットは「液体ヘリウムの補充、冷凍機メンテナンスが必要であるため維持費が高い。」「円筒構造であるため圧迫感があり、閉所恐怖症の人や小さな子供は撮影できないことがある。」

 

永久磁石のメリットは「装置の価格、維持費が安い」「開放性が高く、MRIガイド下のIVRに応用できたり、閉所恐怖症や小さな子供でも撮影できる。」デメリットは「低磁場であるためSNが低い」「質量が大きいため、2階以上に置けない。」

  

 

超電導

ところで、超電導磁石の「超電導」とはどういう意味でしょうか。

電導とは、特定の物質を非常に低い温度へ冷却したときに、電気抵抗が0になる現象のことです。

MRIではニオブーチタン合金という物質が使われることが多いです。

 

それでは、超電導により電気抵抗を0にするとどのようないい事があるのでしょうか。

 

主に2つのメリットがあります。1つ目は電気抵抗が0になるため、大電流を供給できることです。磁場と電流は比例関係にあるため、大電流を供給できるということは磁場を高くできるわけです。ただし、臨界電流といって実際に流せる電流の値は決まっています。もし、臨界電流をこえてしまうとクエンチが起こってしまうため注意が必要です。

 

2つ目は一度電流を流せば、電気抵抗が0であるため永久的に流れます(永久電流)。すなわち消費電力が0というわけです。

 

ところで、超電導磁石をどのように非常に低い温度に冷却しているのでしょうか。

 

答えは「超電導磁石(ニオブーチタン合金)を液体ヘリウムに浸すことで4K(=-269℃)に冷却しています。」

また、そのままでは液体ヘリウムはすぐに気化してしまうため、クライオスタットというステンレス製の魔法瓶構造の中に収められています。

 

ここで質問です。「冷却と聞くと液体窒素が思い浮かびます。液体窒素の方が安価で手に入りやすいです。冷却に液体窒素を用いてはだめなのでしょうか?」

 

答えは「ダメ!です。液体窒素の沸点は77K(=196℃)であるため、超電導は起こりません。液体ヘリウムの沸点は 4K(=-269℃) です。」

 

1.5Tと3.0Tの比較

 

 

傾斜磁場コイル

役割

傾斜磁場コイルは静磁場空間に直行する3軸(x , y , z)に配置されており、任意の方向に磁場勾配を作ることができます。

傾斜磁場コイルの役割は「磁場勾配を作り出し、信号に位置情報を付加する」ことです。

それによりスライス断面の決定および位相エンコード、周波数エンコードを行うことができる。

 

 

性能

傾斜磁場の重要なパラメータに「最大傾斜磁場強度」と「スルーレイト」があります。

 

最大傾斜磁場強度とは出力できる最大の傾斜磁場強度のことをいい、単位は[mT/m]です。

 

スルーレイトとは傾斜磁場強度の立ち上がり時間特性を示し、単位は[mT/m/ms]です。

 

 

RFコイル

RFコイルは「RFパルスの送信のみできる送信コイル」と「信号の受信のみできる受信専用コイル」と「RFパルスの送信と信号の受信の両方ができる送受信兼用コイル」があります。

ちなみにコイルに接続されるケーブルで見分けることができます。1本の場合は受信専用コイル、2本の場合は送受信兼用コイルです。

 

RFコイルはボリュームコイルサーフェイスコイルに分類されます。

 

ボリュームコイル

ボリュームコイルには送受信兼用コイル送信専用コイルがありますが、受信コイルとしては十分な感度が得られないため、送信専用コイルとして利用されるのが一般的です。受信コイルといて使いたい場合はボリュームコイルを2つ組み合わせたQDコイルを使用します(あとで説明)。

 

ボリュームコイルにはソレノイドコイル、サドルコイル、バードゲージコイルなどがあり、撮影部位を覆う形状となっています。

 

RFコイルはRFコイルの磁場方向が静磁場方向と垂直になるように設置します。

ソレノイドコイルはRFコイルの磁場方向が軸方向であるため、垂直磁場の装置(永久磁石)で使用し、サドルコイルとバードゲージコイルはRFコイルの磁場方向が横断方向であるため水平磁場の装置(超電導磁石)で使用する。

あとで出てくるサーフェイスコイルは撮像部位を覆う形状ではないので、どちらの装置でも使用できます。

 

表面コイル(サーフェイスコイル)

サーフェイスコイルは受信専用でありRFの送信にはガントリ内のボディコイルを使用します。

コイル径が小さいほどコイル近傍での感度は高いですが、深くなるにつれて急激に感度が低下します。そのためサーフェイスコイルはできるだけ目的部位に密着させて使用する必要があります。

 

臨床で使われるサーフェイスコイルは径が小さく感度領域が小さいので、 手や小児などの小さな被写体に使うことが多いです。もし、脊髄の撮影のような大きな感度領域が必要な場合はあとで説明するフェーズドアレイコイルを使用します(あとで説明)。

 

 

QDコイル

ボリュームコイルは感度領域と感度均一性に優れますが、感度が低いのが弱点でした。この弱点をなんとかするため、QDコイルが使われます。

 

QDコイルとは2つのボリュームコイルを直行に配置することで、位相が90°ずれた異なる2つの信号を取得できるコイルです。

コイルを2つ組み合わせているので受信できる信号(感度)が2倍となり、SNRは√2倍となります。

そのまま受信するだけでは位相が90°ずれているため信号の位相を補正してから加算しています。

 

QDコイルは 感度領域を小さくすることなくSNRを改善することができます。

 

ガントリ内のボディーコイルは一般的にQDコイルが使われています。

 

フェーズドアレイコイル

表面コイルは感度は高いのですが、感度領域が狭いのが弱点でした。この弱点をなんとかするため、フェーズドアレイコイルが使われます。

 

フェーズドアレイコイルはサーフェイスコイルを複数配置したコイルで、それぞれのサーフェイスコイルが検出した信号を独立した受信回路系で増幅し、画像化した後、それぞれの画像に適切な重み付け係数を乗じてから加算することで1枚の画像にします。

 

フェーズドアレイコイルは SNRを低下させることなく感度領域を改善することができます。

 

また、サーフェイスコイルの配列を位相エンコード方向に平行並列することで、

パラレルイメージングが可能となる。

 

 

国家試験

Q1.MRI装置の静磁場が強い場合、正しいのはどれか。(68回 am12)

1.SARが低下する。

2.縦緩和時間が短縮する。

3.T2による影響が減少する。

4.撮影可能な範囲が狭くなる。

5.ラーモア周波数が低くなる。

4

 

Q2.MRI装置で正しいのはどれか。2つ選べ。(68回 am13)

1.永久磁場は磁気材料の温度依存性が少ない。

2.永久磁場は超電導磁場に比べ維持費が安い。

3.超電導磁石の静磁場方向は体軸に平行である。

4.常電導磁石は常時液体ヘリウムで冷却する必要がある。

5.超電導磁石は超電導状態になれば液体ヘリウムは必要ない。

2,3

 

Q3.MRI装置で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.シミングは静磁場の均一性を高める。

2.クエンチングは常電導磁石装置で生じる。

3.永久磁石方式では恒温対策を必要としない。

4.表面コイルのコイル面は静磁場と平行になるように置く。

5.アクティブシールドは強磁性体で漏洩磁場を遮蔽する方式である。

1,4

 

Q4.MRIのコイルで誤っているのはどれか。2つ選べ。(59回 am22)

1.検査中の大きな音は静磁場コイルの働きに由来する。

2.超伝導状態での静磁場コイルの消費電力は0である。

3.超伝導の静磁場コイルは液体ヘリウムに浸されている。

4.磁場の不均一性を補正するためシムコイルが使われている。

5.超伝導の静磁場コイルは永久磁場の静磁場コイルに比べて重い。

1,5

 

Q5.MRIにおける傾斜磁場について正しいのはどれか。(69回 pm12)

1.スリューレートの単位はT/mである。

2.最大傾斜磁場の単位はT/m・sである。

3.傾斜磁場コイルはRFコイルと併用することができる。

4. 傾斜磁場コイルは静磁場コイルの外側に配置されている。

5.傾斜磁場コイルはx , y , z のそれぞれの方向に必要である。

5

 

Q6.MRI装置で超伝導コイルの最も近くに存在するのはどれか。(67回 am12)

1.シムコイル

2.高周波送信器

3.傾斜磁場コイル

4.冷凍機用圧縮機

5.クライオスタット

5

 

Q7.MRIで用いられるフェーズドアレイコイルの特徴で正しいのはどれか。(68回 pm11)

1.送受信型コイルである。

2.複数のコイルで構成されている。

3.コイルから離れた部位のSN比が高い。

4.小さなFOVで高解像度撮影に用いられる。

5.パラレルイメージングを行う際に使用される。

2,5

 

Q8.汎用円型表面コイルで正しいのはどれか。(63回 am23)

1.広範囲の撮影に適している。

2.スライス面の選択に使われる。

3.深部臓器の撮影に適している。

4.身体表層部の信号が飽和しやすい。

5.コイル径を大きくするとSN比も高くなる。

4

 

Q9.5インチRFコイルの写真を示す。撮影に適する部位はどれか。(69回 am12)

1.脳

2.肝臓

3.手掌

4.脊髄

5.大動脈

3

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